2012年3月24日土曜日

無錫橋聯集団訪問(Wuxi QiaoLian Wind Power Technology) 訪問(青島矢一)


320日 

***以下のブログ記事は、3月20日に(Qiaolian)を訪問した時に聞いた話をもとに書いたものですが、8月に同業の江蘇吉鑫(Jixin)で聞いた話と多少矛盾するところがあります。おそらくJixinの話が正しいと思われます。Qiaolianが2004年から事業を始めたといっているのは、Jixinから受けた鋳物の機械加工です(Jixinでは2005年といっていましたので、これがQialianの自社工場にあたると思います。この部分は大きな矛盾はありません)。2006年から鋳物も始めたというのは、Jixinが2007年まで、Qiaolianの工場を借りて機械加工をしていましたが、2007年から自社生産を始めたのに対応して、Qialianも自分で鋳物を始めたということです。シェアが中国トップというのは間違いのようです。現在のトップはJixinです。また風力の発電単価がPVの発電単価よりも高いと述べていたのですが、それは間違いだと思われます。***


今日は 風力発電向け製品を製造している橋を訪問しました。橋はもともと大型の金属加工を得意とする企業で、2004年に、風力発電関連事業に多角化して、Wind Power Technologyを設立しました。現在、風力発電向け部品事業では、中国でトップ企業だといっていました。理事の曹さんが対応してくれました。


は、風力発電設備に使われる大型の部品を製造しています。部品といっても巨大で、工場でみた1つは、風力発電のポールを地面で受け止める部分の土台のような部品で(名称はわからない)、もう1つは、タービンのブレードを収める部分の部品です。

タービンを受ける部品
地下で設備を受ける部品らしい

2004年に風力発電向け事業を始めたときには、鋳造品の機械加工だけをやっていました。江陰市の風力関連企業がインドから受けたオーダーをさばききれないということで、仕事がまわってきたのだそうです。その後は、インドから直接オーダーが入るようになりました。2005年には、自社工場をつくりました。顧客の8割は海外でした。


2006年からは、自社で鋳造も手がけるようになりました。海外の顧客には、Vestas、三菱、GEといった企業名がありました。インドやスペインにも顧客がいるそうです。国内では東方電器、三一電器などなど、うまく聞き取れませんでした。


2006年から2008年は風力発電事業にとっては非常に良い時期でした。その時期、橋の粗利益率は80%で、純利益率も40%だったといいます。そこで、ニューヨークでの上場の話も持ち上がりました。海外の投資家から8000万ドルの投資の話もきました。


新エネルギー産業に吹く追い風を受けて、20093月に、無錫市政府は、新エネルギー関連の企業78社を集めて、PVは尚徳を中心に、風力発電は橋を中心に事業を促進することを提案しました(中国では政府の方向付けの影響が極めて大きいようです)。風力発電に関しては、日本のMHIの協力も受けて、新たに無錫に産業パークをつくって、タービンや発電機を含めて風力発電所全体を一貫生産する計画が出されました。無錫市政府が1億ドル、橋2億ドルを出資するという計画でした。


しかし、200910月に、中国の中央政府が風力発電を制限する政策を出しました。生産能力が多すぎるというのが理由です。これ以降、中国の風力発電建設は急速に縮小しました。中国政府が風力発電を制限するという意味がよくわからないのですが、国内の顧客はほとんど国営企業ですから、国営企業が風力発電所をつくらなくなるという意味だと思います(中国では政府の方針によって産業が大きく影響を受けると皆が口を揃えていうのですが、その意味が今一歩よくわかっていません)。

曹さんは、中央政府の制限政策は橋にとっては厳しいものだけれども、中国全体としては正しい政策だと言っていました。そもそも風力発電は、火力などの3倍の発電単価です。政府は、それを補填するほどの補助金はだせません。PVの方がまだ経済性が高いです(このあたり日本と事情が異なる)。しかも風がないと発電しませんから、出力が不安定です。


2006年から2008年に市場が伸びた時に、多くの粗悪品が出回ったといいます。風力発電設備の90%は鉄鋼でできています(といっていましたが、本当かわかりません)。しかし、5トンの鉄から品質の良い鉄は1トンしかとれないといいます。当時は、輸出が8割であって、品質の良い1トンの鉄鋼は全て輸出品にまわってしまいました。そして、国内市場向けには粗悪な鉄を使った品質の悪い製品が流れたといいます。


その後、海外からの注文が急速に減った結果、現在は、海外向けが2割、国内向けが8割となっています。海外市場が大幅に減ったこともあって、最大手の東方電器が60%減産、それ以外は90%も減産したといいます。橋も現在は厳しい状況にあるようです。



風力発電所は風の吹く西の内陸部に建設されるのですが、内陸部ではそれほど電器の需要があるわけではありません。また風力よりずっと効率の良い水力発電もあります。需要のある沿岸部まで送電するのはコストがかかりすぎます。そういった意味で、風力発電はまだまだだと曹さんは考えているようです。


風力発電所建設のコストは1基あたり3000万元から6000万元だそうです。発電単価では火力の3倍から4倍といっていました。


風力発電設備のコストの40%は制御関連(電気・電子)で、20%がタービン、20%が発電機、残りの20%を橋が提供しているような部品が占めているそうです(このあたり正確な数字ではなさそうです。人件費などがどこに入るのかわかりません)。


最も高価なのは制御部分で、これはドイツの企業がほぼ独占しているのだといっていました。非常に興味あるところです。少し調べてみたいと思います。


の製造原価の70%は原材料費だそうです(鉄鋼)。中国での市場シェアはかつては20%でトップでした。今もトップだそうですが、シェアは低下しているといっていました。従業員は800人です。橋網グループとしては、原子力や火力発電向けの大型部品や、太陽電池の製造設備もやっているそうです。

熱烈歓迎というのがいつも恥ずかしい
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  中国ではMWを兆ワットといいます。非常に紛らわしいです。兆は百万(メガ)の百万倍です。途中まで、兆ワットというので、こんな大きなはずはないと、理解に苦しみました。数学的には日本と同じように兆という単位があるのですが、日常用語では、メガを兆というのだと、後で説明してもらいました。うーん、紛らわしい。
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(青島矢一)