2012年3月24日土曜日

振発新エネルギー訪問(1)(青島矢一)


2012年321

午後は、振発新エネルギーを訪れました。無錫市政府の蘇さんの紹介によります(蘇さんは日本にいたことがあり、日本語ができます)。市政府経由でお願いするとほぼ問題なく受け入れてくれます。中国では市政府が強いです。

太陽光発電所(http://www.zhenfa.com/en/)


振発は、中国でもっとも大きなPVのシステム企業(エンジニアリング企業)です。要するにPV発電所を建設する企業です。ここ1年から2年で急成長した企業です。


対象市場のほとんどは中国国内です。海外市場では、これまでに4000万元の輸出をオーストラリアにしています。オーストラリアと日本に販売会社があります。


まず会社紹介のビデオをみました。僕のために英語のビデオにしてくれました。これは助かります。中国語を通訳してもらうと、おそらく半分くらいは情報が伝わっていないと思われます。


振発は、2009年から現在までで415MWの発電所を建設してきました。今後の計画は2.258GWとなっています。自社技術をもっていて、数多くの特許を押さえていることを強く宣伝していました。このあたり中国企業だな、という印象です(日本企業で特許を宣伝する企業はほとんどないと思います)。


振発はPV発電所の様々な形態に取り組んでいます。いろんなタイプの発電所を知りました。たとえば、AIPVとはAgriculture Integrated PVのこと。農地に発電所をつくるのですが、農業はそのまま行われているというタイプです。農業と発電の統合ということです。BIPVBuilding Integrated PVで、ビルの壁面や屋根部分にPVパネルを使うタイプです。日本と異なって中国では家庭用PVはほとんどありませんので、一軒家の屋根にPVパネルと載せることは想定されていないようです。Animal Husbandry Integrated PVというのもありました。これは畜産と統合したPV発電所です。


つまりこれらは、農業やビルなどと場所を共有して、双方を両立させて経済性を高めようとする仕組みです。PV発電所建設で鍵となるのは場所の確保ですから、筋の通った考え方だと思います。


ビデオではいろんな発電所の紹介がありました。これまで建設した一番大きな発電所は、50MWの発電所です。これは風力発電と組み合わさっているそうです(でもHPでは確認できませんでした)。最初に風力発電所があり、そのまわりにPV発電所を建設しています。寧夏(Ningxia)の発電所は、砂漠に建設して、砂漠の緑化を実現したものです。国から表彰を受けたといっていました。


寧夏の50MW発電所

中国のPV発電所のほとんどは西の内陸地域に作られます。無錫にいるとその理由がわかります。ここにはほとんど太陽がありません。僕がここにいる間、太陽を見ることができたのは、1日の内の数時間だけでした。青空はほとんどありません。だいたいこんなものだそうです。


風力発電所もほとんど西側の内陸につくられるとのことでした。このことは、中国が再生可能エネルギーをすすめる上で、問題となると思います。電力を必要としているのは、沿岸部です。内陸で発電したものを、沿岸部まで遠路、送電しなければなりません。かなりのコストがかかりますし、送電ロスも大きいと思います。


振発が得意としており特許をおさえている技術は、Tracking Systemに関わるものです。太陽の動きに合わせて、最も発電効率の良い方向にパネルを動かし続ける技術です。日本の庭ではどうか、と聞かれましたが、都心部で広い庭をもっている人は限られるので、日本では難しいと思います。ちなみに3.06kwのシステム(日本で家庭用に売られているのと同じくらいの出力)で550kgの重さでした。


Tracking System


現在、日本のオムロンと共同事業の話を検討しているといっていました。オムロンがインバーターを含む電機系を担当して、日中で発電所建設をすすめるということを考えているようでした。

(青島矢一)