3月19日
愛多科技は無錫市から少しはなれた江陰市にあります。PV向けシリコンウェア製造事業を主とする企業です。
決してきれいな建物ではありません。というか、こんな汚いところでシリコンウェハをつくっているとは想像できませんでした。以前何度も訪問した日本の半導体工場はとにかくクリーンでしたから。太陽電池のウェハに求められる性能(純度)が、半導体用のウェハとは桁違いに低いというのが実感できます。
最初に、展示室で、シリコンの材料やウェハを見せてもらいました。展示室といっても、簡便なものです。豪華な部屋ではありません。
その後、工場見学をしました。シリコンインゴットの製造設備を初めて見ました。太陽電池は、セルが小さいので、設備もずいぶんと小さいです。設備は全部で26台あります(ヨーロッパ製だといっていましたが、どこの国かは忘れました)。設備の中を除くと赤くシリコンのインゴットが引き上げられている様子がわかります。
設備の値段は1台100万元、付帯部分を含めると、およそ120万元だとのことです。日本円で1500万円として、26台の設備をもつ工場を1つ立ち上げるのに、4億円から5億円といったところです。詳しい経済計算に関しては後で聞くことにしました。
シリコン材料は、1kg200元で外部から購入して、それをインゴットに加工すると350元となるそうです。この工場では1ヶ月に20トン製造しており、もう一つの別の工場では30トン製造しているので、合わせて50トンを製造しています。これらのインゴットの多くは、社内でウェハに加工されています。ウェハの値段は、近年急速に下がって、現在は1枚7元(100円)です。正直、いくつか買って帰ろうかと思いました。
袋に入ったシリコンの材料 |
できたインゴット |
ウェハ製造工場は別の建家です。円柱のインゴットを四角柱にするための切削の機械があります。Nissinと書いてありますので、おそらく産業機器のニッシンの機械だと思われます。
四角柱になったインゴットは、次にウェハにスライスされます。機械(スライサー)は全部で10台あります。ゆで卵をワイヤーで輪切りにするような感じの機械です。8台はKomatsu NTCと書いてありますので、精密機械加工機器メーカーのコマツNTC製です。最初に導入した2台は安永製です。こうして見るとこのあたりは日本の工作機械ばかりです。
ここで加工されているウェハの厚さは200ミクロンです。最先端の設備では現在160ミクロンくらいの厚さにだと王さんが説明してくれました。加工されたウェハは、洗浄、乾燥されて、完成します。素人が見ても良く理解できる、非常に単純な工程です。
洗浄 |
脱水・乾燥 |
できあがり |