2012年2月3日
東大のものづくり経営センターの研究会に呼ばれて話をしてきました。タイトルは「エネルギー、環境、産業発展の両立にむけて」。『一橋ビジネスレビュー』3月号向け論文の内容です。
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ものづくりセンターの研究は、「おたく的(おっ、ここまでやるか、というくらい中に入り込む)」なものが多く、僕は好きで、いつも参考にしています。
今回の話では、エネルギー問題/環境対策を考える上で、技術進歩や企業や競争の現場を理解しないと将来大変なことになる、ということを主張しているわけですが、それには皆さん同意してくれたように思います。現場に入り込んでいる人なら、すぐにわかることです。
まあ、こうした政策的な発言をし始めるのは危険で、経営学者としての本筋を失ってはいけないわけですが、それでも、今は少し、出しゃばった方がいいのではと思っております。「同床異夢の罠」、「環境、エネルギーというマジックワード」、「市場拡大=経済発展という幻想」という3つで現状の問題を整理していますので、3月号のビジネスレビューを見てください。
研究会で得たことはいろいろありますが、印象に残っているのは「電力の質」の重要性。ものづくりの現場を知り尽くしている藤本さんならではの視点で、この点、これまで少々軽視しておりました。
確かに、日本のものづくりの強さを維持するためには、電力コストよりも、電力の質の方がずっと重要でしょう(日本の製造業の競争優位を考えれば自明)。もちろん、それに固執しすぎて、電力会社の既得権益を擁護しすぎてはいけないとは思いますが、再生可能エネルギーへの転換においても、如何にして需要サイドにおける電力の質を維持するかが極めて重要な視点だとあらためて思いました。
分散型システムの場合、供給資源に余裕があれば、質の担保が可能ですが、今の日本では供給側が逼迫しているので、分散型といいながらも全体最適を追求しないとおそらく質の確保は難しいだろうと直感的には思います。このあたり、今後考えていきたいと思います。
それにしても、藤本さんの、相変わらずのパワーには圧倒されました。研究の厚みが違いますね。さすがです。東大ものづくりセンターはいいところです
(青島矢一)
(青島矢一)