少し時間が空いてしまいましたが、中国の太陽電池の検査を行っている国家レベルの機関のCPVT(China Photovoltaic Products Test Center)の訪問記です。
左から王博士、Yun博士 |
英語でプレゼンしてくれた |
以下で聞いたことをまとめますが、一番印象に残っていたことは、「日本と韓国以外は国内でテストして輸出できる」ということでした。欧州や米国とは認証に関する提携があり、国際的な規格に沿った試験をパスすれば、現地で再検査しなくても、輸出可能だけれども、日本と韓国だけは現地で現地に基準に沿った試験をしなければいけないのだそうです。
一種の参入障壁になっています。このあたりの経緯は少し調べてみたいと思います。
CPVTは無錫質検(Wuxi Test)傘下にあり、国家品質監督検査検疫総局に認められた中国で唯一の太陽電池試験・テストセンターです。無錫市のサンテックの近くにあります。
ここではセルやモジュールだけでなく太陽電池に関わるあらゆる部材のテストと認証を行っています。CNASとILAC/MRA(ILAC相互認証)の認定を受けており、IECやUL規格に沿ったテストを行うことできます。
ビルの中には、セル、モジュール、電池、コントローラー、インバーター、ガラス、バックシートなど様々な部品や材料をテストする試験室があります。残念ながら写真撮影は禁止でしたが、一通り見せてもらいました。
お昼休み中でほとんど人をみかけませんでしたが、ここには、2名の博士(説明してくれた王さんとCTOのYunさんだと思う)、15名の修士、15名の技術士がいます。IEC TC82のメンバーが3名います。従業員の87.9%が学卒以上です。
中国の国家標準化管理委員会は、2009年、国内のPVの標準開発の効率を引き上げることを目的として、PV産業標準化促進ワーキンググループを設立しました。CPVTはそのグループリーダーの1つとして国内のPV産業の水準向上に役割を果たしてきました。
CPVTは国内外の様々な大学や研究機関との連携をはかっているようです。国内では、PV関係の研究で有名な中山大学と特に深い関係を築いており、中山大学から人材を得ているようです。
海外では、米国のNREL(National Renewable Energy Laboratory)、ドイツのFraunhofer ISE(太陽エネルギーシステム研究所)、スペインの試験機関AT4 Wireless、スイスのSUPSI(The University of Applied Sciences and Arts of Southern Switzerland )、ベルギーにあるEuroTest、オーストリアのAITといった機関と連携しているという説明を受けました。
また、2010年3月には、CEC(California Energy Committee)によって、CPVTが、公式にPVモジュールの認証プロセスにリストされました。米国にPVを輸出するにはCECによって規定されたレポートを作成して認証を受ける必要があるのですが、CPVTが公式にリストに載ったことによって、CSAの認証とCPVTでのテスト結果を送ることによって、中国のPVモジュールもスムーズに補助金の対象となるという説明でした(このあたり今一歩理解できていないかも)。
また2010年4月には、IECEE Proficiency Test Programに参加することになり、海外の検査・認証機関とのやりとりが活発化したといっていました。
(青島矢一)