2012年8月6日
まずは原価構成について。前回の訪問では、無錫の中小企業である愛多科技で細かい原価構成を聞きましたが、最近はさらに価格が下がっており、そのとき聞いた価格よりもサンテックの価格の方が低いという状況でした。
発電所向けに出荷される多結晶シリコン型モジュールの工場出荷価格は、今年度の第一/第二四半期で0.8ドル/W、第三/第四四半期で0.7ドル/Wとのことでした。日本円にして60円程度です。1kwに換算すると6万円です。非常に安いです。単結晶シリコン型の場合には0.9ドル/Wとのことです。
ただ、サンテックでは、0.7ドル/Wという出荷単価は原価割れだそうです。0.7ドル/Wは現在の出荷価格であると同時に、当面のコスト目標でもあるといっていました。他社の出荷価格は既に0.65ドル/Wとなっているため、コストダウンは喫緊課題となっています。
0.8ドル/Wのコストの内、0.4ドルがシリコンウェハ、0.25ドルがその他の材料で、残りの0.15ドルの内、3割は設備費用、7割が人件費とのことです。太陽電池モジュールの8割は材料費です。それゆえ大幅なコストダウンには限界があります。
サンテックではシリコンウェハの5割を内製しています。子会社でシリコン材料からインゴットを生産し、ウェハに加工しています。残りの5割のシリコンウェハは外部の企業から購入しています。江蘇省や浙江省の企業から購入しているとのことで、大きいところでは江蘇省の保利协鑫(ポーリーシンシンと聞こえました)という企業があります。
シリコン原材料の5割は国内で調達しており、残りの5割は韓国と米国から輸入しています。国内の生産拠点は(公害の問題などから)、炭坑がある内陸に移っています。
シリコン以外の材料はほとんど中国国内で調達しているということです。一部、品質要求の厳しい部材は海外から調達しています。
フレームと化学品は地元の無錫市で調達しています。ガラスは近隣の浙江省から購入(耀华玻璃厂という企業)。製造設備に関しても、現在は、ほぼ国産設備でまかなっているとのことでした。以前は4割が国産で6割が海外製だったそうです。
今年の7月から固定価格買い取り制度の始まった日本市場に関する戦略を聞いたところ、日本での販売はすべて子会社のMSKが担当しているのでよくわからないとい返事でした。日本市場はMSKが一手に引き受ける特別な市場なようです。ちなみに日本市場では利益を出しているということでした。ヤマダ電機がサンテックの商品を扱っていますが、日本製品とあまり価格差がないので不思議だと思っていますが、さまざまな規制への対応、日本の屋根への対応などで高コストになっているだけでなく、MSKの市場戦略(価格戦略)も関係ありそうです。調べてみたいところです。(青島矢一)