「CO2削減とイノベーション」研究会 見学会レポート 2011.9
笹田ビル見学会 (東京都千代田区一番町)
NPONPO法人地中熱利用促進協会理事長の笹田政克氏のご案内で、都心で初めて地中熱ヒートポンプを本格的に導入したオフィスビル「笹田ビル」(千代田区一番町)を見学させていただきました。見学希望者が多数であったため、メンバーを2班に分け、2回にわたって見学会を実施しました。
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ビルの外観 |
笹田ビルは築20年のビルです。このビルでは、もともとは通常の、空気熱源のヒートポンプを使ったタイプの空調システムを付けていたそうですが、それが古くなったため、2008年11月から地中熱ヒートポンプシステムに切り替えたとのことです。
以来
、月別に運転データをとっていますが、それによりますと、年間の電力量としては実に49%の省エネ、CO2の削減量としては3.8tを実現した、ということです。
○一番町にある笹田ビル
笹田ビルは5階建ての小規模オフィスビルです。1~3階までのオフィスフロアの床面積は各階約100㎥で、ここに地中熱冷暖房が導入されています。地中熱ヒートポンプシステムに切り替えてわずか2年で、年間で49%の省エネを実現したとのことです。
室内の様子も拝見させていただきましたが、室内機も通常の空調システムと同様の感じになっています。まったく違和感がありません。また、オフィス入口にはLCDパネルが設置され、リアルタイムでシステムの運転状況を確認することができます。
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天井に設置された室内機 |
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LCDパネルで地中熱利用の状況をチェック |
○駐車場に埋設された地中熱交換器
ビル前の駐車場スペースをボーリングし、長さ75mの地中熱交換器(U字管ダブル)を8本、地下に埋めているそうです。
地中熱交換器というのは、水を循環させたチューブのことで、ある一定のスピードの水流をつくりだすことで地中の熱を採取しています。
駐車場は車約2台分で、決して広いとはいえませんが、これだけのスペースがあれば、この規模のビル1棟分の空調をまかなう地中熱を取り出すことができます。
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ビル前の駐車場スペース |
地中にパイプを入れた後は、その隙間を砂利などで埋めています。また、地下から上がってくる水、ビルから戻ってくる水、2本のパイプには温度計が取り付けられ、それぞれの水の温度が何度であるかわかるようになっています。
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地中に埋められたパイプ |
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パイプと温度計 |
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パイプと配管の受渡し
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○屋上の様子
地下から取り出された熱は配管で屋上に運ばれます。使い終わった熱も同様に、もうひとつの配管を通って地中に戻されます。
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地中熱を屋上へと運ぶ配管 |
屋上には、ヒートポンプが設置され、室内で必要となる温度領域のエネルギーにここで変換されています。また、屋上には電源や運転の切換えのできる装置を搭載した制御盤も設置されていますが、現在では全自動運転になっていて、制御盤を実際に使うことはほとんどないそうです。
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屋上のヒートポンプ with笹田理事長 |
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ヒートポンプと配管 |
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制御盤(電源・運転切換用) |
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気象観測装置 |
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不凍液の入ったバッファタンク |
(文責:藤井由紀子)
(写真提供:青島・三木)
NPO法人地中熱利用促進協会 http://www.geohpaj.org/
地中熱利用について、さらに詳しくお知りになりたい方は、上記HPをご覧ください。