「CO2削減とイノベーション」研究会
「東海大学のソーラーカーの技術と性能」
木村英樹 氏
「東海大学のソーラーカーの技術と性能」
(東海大学工学部電気電子工学科教授
東海大学チャレンジセンター次長)
今春、トミカシリーズに、世界ソーラーレース5連覇中の「Tokai Challenger」が登場した。3次元カーブを描くボディが“世界一クール”と賞賛される、東海大学のソーラーカーである。しかし、車体の美しさもさることながら、太陽電池をはじめ、搭載技術のほとんどは日本製であり、震災によってわが国のエネルギー問題が喫緊の課題となるなか、東海大学が世界のトップを走りつづけるその意義は大きい。そこで、今回の研究会では、東海大学ソーラーカープロジェクトの中心人物であり、チーム監督として学生を牽引する木村英樹氏にお越しいただき、「Tokai Challenger」の技術的特徴からレース戦略に至るまで、その活動の一部始終を披露していただいた。
★★ 2013年最新大会の様子を、2014年1月19日(日)14時よりテレビ朝日系で放映★★
↓ 詳しくは、下記をご参照ください (新しいレギュレーションのもとでのレース展開を密着取材しています)
↓ 詳しくは、下記をご参照ください (新しいレギュレーションのもとでのレース展開を密着取材しています)
★★ 講演録として、より詳しい内容を「リサーチ・ライブラリ」にて公開しています ★★
↓ 「リサーチ・ライブラリ」へのリンクはこちら (研究会・講義録項からダウンロードください)
↓ 「リサーチ・ライブラリ」へのリンクはこちら (研究会・講義録項からダウンロードください)
【講演要旨】
燃料資源に恵まれない日本において、エネルギー源を必要とせず、太陽光だけで走るソーラーカーは、真のエコカーとしての価値を持つ。プロジェクト活動を通して学生の育成を目指す東海大学チャレンジセンターでは、エネルギー・技術・環境の3分野の“未来”を見据えた「ライトパワープロジェクト」を立ち上げており、ソーラーカーチームはこの中で活動している。
東海大学のソーラーカーの歴史は1991年にまで遡る。2008年の優勝以降、世界大会5連覇を果たしているが、その強さの理由は総合力にあり、様々に工夫を凝らして、最高レベルの技術を巧みに組み合わせている。大会のレギュレーション変更に伴って、搭載技術も変更を強いられてきたが、2011年型「Tokai Challenger」には、パナソニックの太陽電池「HIT」(高効率シリコン太陽電池)、東レの炭素繊維「トレカ」(車体軽量化)、ミツバの「ダイレクトドライブモータ」(伝達効率アップ)などを使用し、シリコン太陽電池の搭載車として歴代最高となる平均時速91.54kmを記録した。
特に、最も要となる太陽電池については、アモルファスシリコンの特性を利用した高温時でも出力低下しないHIT太陽電池を選択したこと、電極で反射させた光をモジュール界面で再反射させて発電できない表面電極部の弱点を克服したこと、フラットな表面構造に反射防止処理を施して砂塵付着による光の遮断を回避したこと、コンパクトなモジュールにより発電を小単位にまとめて角度差による発電量低下を防いだことなど、独自の工夫を積み上げている。そして、砂漠地帯を長距離走行する実際のレースでは、ミシガン大学、デルフト工科大学、スタンフォード大学といった強豪チームに抜きんでて、こうした工夫が優位性を発揮したといえる。
また、レース中の発電と消費の予測は非常に難しいが、衛星画像を駆使して効率的なエネルギーマネジメントを心掛けている。すなわち、東海大学宇宙情報センター、情報処理センターの協力を得て、現地の雲の様子を高精細で入手しているほか、千葉大学環境リモートセンシング研究センターと共同開発された「T-SEEDS」を応用して日射量を解析し、終始戦略を立てつつ、レースを有利に進めている。
(文責:藤井由紀子)
東海大学のソーラーカーの歴史は1991年にまで遡る。2008年の優勝以降、世界大会5連覇を果たしているが、その強さの理由は総合力にあり、様々に工夫を凝らして、最高レベルの技術を巧みに組み合わせている。大会のレギュレーション変更に伴って、搭載技術も変更を強いられてきたが、2011年型「Tokai Challenger」には、パナソニックの太陽電池「HIT」(高効率シリコン太陽電池)、東レの炭素繊維「トレカ」(車体軽量化)、ミツバの「ダイレクトドライブモータ」(伝達効率アップ)などを使用し、シリコン太陽電池の搭載車として歴代最高となる平均時速91.54kmを記録した。
特に、最も要となる太陽電池については、アモルファスシリコンの特性を利用した高温時でも出力低下しないHIT太陽電池を選択したこと、電極で反射させた光をモジュール界面で再反射させて発電できない表面電極部の弱点を克服したこと、フラットな表面構造に反射防止処理を施して砂塵付着による光の遮断を回避したこと、コンパクトなモジュールにより発電を小単位にまとめて角度差による発電量低下を防いだことなど、独自の工夫を積み上げている。そして、砂漠地帯を長距離走行する実際のレースでは、ミシガン大学、デルフト工科大学、スタンフォード大学といった強豪チームに抜きんでて、こうした工夫が優位性を発揮したといえる。
また、レース中の発電と消費の予測は非常に難しいが、衛星画像を駆使して効率的なエネルギーマネジメントを心掛けている。すなわち、東海大学宇宙情報センター、情報処理センターの協力を得て、現地の雲の様子を高精細で入手しているほか、千葉大学環境リモートセンシング研究センターと共同開発された「T-SEEDS」を応用して日射量を解析し、終始戦略を立てつつ、レースを有利に進めている。
(文責:藤井由紀子)